BGM入りです。 music by Sora Aonami  

クリシュナちゃん

クラゲのお腹


クリシュナちゃん

前回は、タイへの旅行での出来事を書きましたが、今日はインドでの出来事をお

話しします。その年の冬に、また私はインドへと友人と荷物を背負って出かけまし

た。インドの東側のプリーというバックパッカーでにぎわう小さな町が気にいって、1

か月滞在していたときのことです。

その町はインドの人にとっても有名な寺院が数多くあるお参りのメッカになっている

町でいつも世界じゅうからのバックパッカーとともに、インド各地からの参拝者でも

にぎわっていました。町のメイン道路も舗装されていずいつも砂埃が立ち、あちこ

ちに牛がねそべっています。野良犬もいっぱいいて、特に夜はこわかったのを覚

えています。にわとりも豚もみんないっしょに人と生活していました。でも、たいてい

の動物たちは悲しいことにみんな皮膚病にかかっていました。

また、ライ病で手足や鼻を失った何人かのお年寄りがそのほこりっぽい喧騒の

中、道端で座り込み、細い弱々しい手を差し出して物を乞うている姿は痛々しくい

つもその人の前を通るとき、見てみぬふりをしている自分がいやでした。かといっ

て、どうしてよいのかわかりません。

<私達は日本から大金を使ってこうしてこの国に来て、毎日のんびり暮らしてい

る。でも、この人達は......>

その町でも、私はあちこちのレストランでまだ幼い子供が大人の仕事を手伝ってい

るのをよく見かけました。まだ小学2〜3年くらいの幼さです。

でも、なんと、レストランで外国人に食事を運んだりテーブルをふいたり炊事を手伝

ったりしているのです。大人よりもよく働いているのではないかと思うくらいです。

**カルカッタの町角でもよく子供たちが商売を手伝っているのを見かけました。インド独特の<チャイ>という甘いミルクティー屋が街角によく店を開いているのですが幼い子供達はお父さんといっしょに働き、そしてその道端で毛布にくるまって夜を明かし、また翌日も目がさめると同時に働くといった状態なのです。

私達は、1週間ごとにホテルを移ってはそれぞれのホテルならではの滞在を楽し

んでいました。そして、あるこじんまりした海辺のホテルに泊まっていた時のことで

す。

その町には外国人が飲み水としてのミネラルウォーターがあちこちに売られている

のですが、実はその空きボトルが、インドの人にとっては換金してもらえる貴重な

収入源だったのです。その小さなホテルのまわりには特に柵もなく、誰でもが旅人

の泊まっている部屋のちかくに近寄ってくることが出来るような感じになっていまし

た。そして、私達がいた部屋のそばにも毎日のように空きボトル欲しさに尋ねてく

る2人の子供がいたのでした。その2人の子というのは、大きい女の子で7才くら

い。そしてまだ幼児ともいえる4才くらいの妹の手をひいていつも窓の外で<ボト

ル...ボトル...>と言うのです。

彼女が身につけているものは、もとは白いランニングであったものがもう汗とほこ

りで茶色くなってしまったもので、しかもぼろぼろに破れているのです。髪の毛はほ

こりと汗でもじゃもじゃになっています。

<今日は空きボトルがないからね>というと去っていく、その幼い2人のうしろ姿を

見るのはとてもやりきれない思いがしたのを覚えています。

そして、ある日たまたま部屋の外にいる時にこの子がやってきました。彼女のかか

とを見るとなにかガラスのかけらで切ったらしい傷口があることに気がつきました。

なんの手当てもされていず、傷口が土で真っ黒になっています。

傷口から町じゅうにあふれている雑菌が入りこみ、たいへんなことになってはと思

った私は外の水汲み場へその子といっしょに行き、洗って殺菌用の軟膏をぬって

バンソウコウを貼りました。彼女は<そんなことをどうしてするの?>というような

まなざしで不思議そうに私を見ていたのを思い出します。

ごく自然に生活している彼らにはそういう処置をする習慣がないのかもしれませ

ん。そして、私は彼女のぼろぼろの衣服が日焼けした細く小さな肩にまとわりつい

ているのを間近で見てなんともいたたまれない気がしました。彼女にこう尋ねてみ

たのです。

<お名前は何?>

<クリシュナ。神様の名前といっしょなんだよ。>

<そうかあ、いいね。ごはんは、いつも何を食べているの?>

<いつも、お母さんが作ってくれる野菜がいっぱいのカレーを食べてるの。>

そう言うと、なんと彼女はにっこり笑ってその小さな体で元気もりもりのポーズを作

ってみせてくれたのです!この時、私はハッとしました。この子は毎日の生活をつ

らいとは思っていない!たんたんと、母親に言われたやるべきことをやっているだ

けなんだ!私達が<かわいそうに..>と思うのは間違った考えであったのかもしれ

ない...こんな小さいのにたくましく生きている.....なんということだろう!

ここでも、天使を見たような気がしました。

こんな風に装って、私達に大事なことを教えてくれている、そんな勇気ある魂.....

その後、しばらくして私達はその町を去りました。

あの神様と同じ名前を持ったクリシュナちゃんは、今はもうずいぶん大きくなったこ

とと思います。わずかな時間の出会いでしたが、どうしているのか気になります。

彼女が幸せに暮らしていてくれますように-----

(2000.8.25)

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クラゲのお腹

あなたは、オーロラを見たことがありますか?本物でなくてもテレビで見たことがあ

るかもしれませんね。きっと、たくさんの人がオーロラを見たいと思っているのでは

ないでしょうか。わたしも、ずっと若い頃からオーロラを一生に一度でいいから見て

みたい!と思っていました。でも、そんなこと、かなうわけがないとも思っていまし

た。でも、今、不思議なことに毎晩のようにオーロラが見えるところで暮らしていま

す。宇宙は何をわたしたちに明日運んできてくれるかほんとうにわからないもので

す。今日はある日のオーロラのことについてお話しします。

一昨年の夏、わたしはまだ旅人としてカナダを訪れていました。

今のパートナーである主人のところでしばらくいっしょに暮らしていました。

でも、観光ビザは3ヶ月まで。ですから、4月の終わり頃から3か月間、7月の終わ

り頃までここにいたことになります。さて、多くのカナダ人はキャンピングカーを持っ

ているのですが彼も小型のトレーラー(キャンピングカーのエンジンのついていない

の。牽引して使う)を持っていました。

でももう、ほとんど使うこともなく、庭の一角に停めてありました。

家もちゃんとあったのですが、わたし達はその小さなトレーラーで過ごすことを楽し

んでいたのです。

ある夜のこと。夜の10時頃だったでしょうか・・

トレーラーに向かおうと外に出た私達は息をのみました。なんと、黄緑色の大きな

大きなオーロラが全天を覆っていたのです!こんなことはあまりありません。普通

は、この土地では地平線にわりと近いところに2〜3すじのラインが出ているくらい

のものが多いのです。でも、この日のオーロラは、東西南北にカーテンのように見

えており、しかも天頂にまで出ていたのです!また、刻々と変化しているのです。

7月の終わりとはいっても、カナダの夜はなんとなく肌寒いのですが、

私達はその寒さも忘れて感動のオーロラをながめていました。カナダ人の彼でさ

え、こんなのは見たことがない・・・と言っています。そのドーム型のオーロラの下で

空を眺めていると、まるで自分達がクラゲのお腹の中にいるような感じがしました。

よく見ると、天頂に現れているオーロラも消えたり出たりすばやく動いているのでし

た。この時、私はなんともいえない感動をおぼえました。

この広大な宇宙に私達は生きている・・・

いや、生かされている・・・

そして、今日、このすばらしいオーロラを見せてくれた神様・・・・

ありがとう・・・

そう、私達はついつい目の前の小さなことに気持ちが行ってしまいますが本当は

大きな大きな宇宙に浮かんでいるひとつの星の上にこの<今>の瞬間もいるのだ

ということをいつも心に感じていたいなと思います。私は、オーロラに限らず、空を

見上げる時、いつもこの想いでいっぱいになります。この秋の青い高い空、白くや

さしそうな雲・・・夜には透き通るような空気の中でまたたく、たくさんの星・・・宇宙

はなんてすばらしいんでしょうか・・・・・

今日のもうひとつの話しは、今書いたこととやはり関係があることです。

今までに1度だけ、私は大失恋をしたことがあります。

まだまだ気持ちが幼かった頃、始めてのことでしたから気持ちの処理が出来ずに

もう何もかもを失ったようなそんな精神状態になりました。

自分の自信を根本から失い、落ち込んだかと思うと、今度は他の人をなじってやつ

あたりしてみたり、うらんだり、また落ち込んだり・・・どう自分をコントロールしてい

いか、まったくわからなくなりました。どうして?どうして?ということが頭の中をぐる

ぐるまわっているのです。とっても辛く暗い気持ちのまま毎日が過ぎていきました。

そして、そんな日が続くうちにだんだん重苦しさに耐えられなくなってきました。

いったいどうしたら、この精神状態から抜け出せるのだろうか?

今度はそんなことを考えはじめたのです。

本屋に行って<失恋した女性は美しい>などどいう本を買って読みました。

少し、気持ちが前向きになってきましたが、でも、根本的にはむなしく、寂しく、自信

を取り戻せないままでした。

そして、ある日の夜、部屋の窓をぼんやり眺めていた時ふとこんなことを思いつき

ました。

そうだ!私達は地球という大きな星の上に住んでいるんだ!

こんなこと、宇宙から見ればきっとちっぽけなことに違いない・・・・

なぜそんな発想になったのかはわかりませんが、きっと両親が時々そんなことを口

にしていたからでしょうね。

そうして、最初はむずかしかったのですが目を閉じて一生懸命、宇宙に浮かぶ美

しい地球の姿を想像しました。そう。私はこの星にいるんだ!大丈夫。大丈夫。き

っと、私は大丈夫!本当にそう思えるまで、なんどもなんどもやりました。そうして

いると、すーっと気持ちが楽になるのを感じたのです。

この時が、はじめて地球と自分の関係を本気で感じた時だったような気がします。

それ以来の人生でも、辛い時にはいつも地球の姿を思い出すようにしました。今

から考えると、あの失恋の体験があったからこそ、この大切なことに気づくことがで

きたんだと感謝の気持ちと、その不思議さでいっぱいになります。

私は今でも、目のつくところに地球の写真を飾ってあります。なんでも忘れっぽい

私が、この大好きな地球のことを忘れないように・・・

なにかで辛いことにぶつかっているかもしれないあなたに、

今日はこの贈り物をさせていただきました。

地球や宇宙があなたをなぐさめてくれますように・・・

(2000.10.24)

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